1.PRP(多血小板血漿)とは?
ご自分の血液(自己血)から遠心分離して得られる血漿の中から、血小板が多く含まれている部分(多血小板血漿;PRP)を抽出し関節内に注入する治療法です。血小板には止血作用があることが知られていますが、その他に種々の成長因子やサイトカイン*が豊富に含まれており、除痛・組織修復および抗炎症効果があると言われています。
- *サイトカイン:免疫細胞から放出されるタンパク質で、細胞増殖、抗炎症作用、創傷治癒に関与している。
自費診療
ご自分の血液(自己血)から遠心分離して得られる血漿の中から、血小板が多く含まれている部分(多血小板血漿;PRP)を抽出し関節内に注入する治療法です。血小板には止血作用があることが知られていますが、その他に種々の成長因子やサイトカイン*が豊富に含まれており、除痛・組織修復および抗炎症効果があると言われています。
肩腱板損傷、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)、アキレス腱周囲炎、足底腱膜炎などの腱付着部障害に加え、肉離れなどの筋損傷、さらに半月(板)損傷・変形性膝関節症といった関節疾患に対して行われます。当院では変形性膝関節症を中心にPRP治療を行っており、腱・腱付着部障害に対しては体外衝撃波治療を行っています。
治療は外来で行います。まず、本治療についての説明を行い、治療を希望される場合は同意書に署名をいただきます。腕から50mLほど採血し、採取した血液は許認可を受けた専門の業者に送られ、抽出されたPRPをフリーズドライ加工(PFC)します。その後、採血した日から20日後にPFC製剤(3mL、2バイアル)が納品されます。
採血日に次回受診日(21日以降)を予約し、予約日に受診していただき、問診・診察したのちに関節内にPFCを注射します。なお、PFCは半年間保存可能なので、1バイアル(3mL)を2回に分けて注射することもできます。
治療後は普通に歩いてあるいは運転して帰宅することができます。また、安静を保つ必要もなく日常生活は通常どおりにできます。なお、当日は感染予防のために入浴は避けシャワー浴になります。
ときに、注射後に一過性に痛くなることがありますが、アイシングをすれば次第に軽快します。
効果は年齢や関節症の重症度によって異なります。また、ご自身の血液から採取し加工・製造するので、通常の薬剤と異なりPFC製剤の中身(PRPの質・量)が一定ではなく効果に個人差があります。さらに、PRPには軟骨組織を増殖・産生させる効果はありますが、PRP自体が軟骨になるわけではないので、既に軟骨が広範に摩耗・消失していたり高度の変形があるような症例では効果は限定的です。
従って、PRP治療の良い適応は、鎮痛剤の内服やヒアルロン酸注射などを受けたが効果がなく、医療機関で手術の適応があると言われたが手術には抵抗がある、あるいは家庭・社会的事情などで手術が受けられないといった方で、軟骨が比較的残存し変形が軽度な場合です。そこで治療に当たっては、レントゲンやMRIなどで詳細に検査を行い適応を厳密に決めるようにしています。また、このような難治性の関節症では顕著な筋力および柔軟性の低下を伴っていることが多く、PRP治療に加え理学療法士の指導によるリハビリが必須と考えています。
上記のような理由で、治療の効果は変形性関節症の重症度が軽度・中等度(図1)では70%弱、重度(図2)の場合には55%前後に低下し、全体としては58~83%とすべての患者さまに効果がある“魔法の治療”あるいは”根本的な治療”ではないことをご理解ください。正直なところ、PRP治療の有効性については、研究の材料・方法が多岐に亘り一定でないなどの理由から科学的な実証は未だ確立されていません。
以上の理由から、PRP治療を直ぐにするのではなく、リハビリを含めた通常の治療をあせらず十分に行ったうえで受けることをお勧めします。また本治療だけで終わるのではなく、PRP後は徹底的なリハビリ(治療推奨度A*)が有効と考えています。
合併症はヒアルロン酸など一般的な関節内注射と同様です。治療直後から数日間、一過性に腫れや痛みが増悪することがありますがアイシングで軽快します。一方、最も問題となるのは化膿性関節炎で発生頻度は0.04%程度ですが、膿の貯留が認められれば排膿・洗浄などの処置が必要になります。
保険は適用されず自由診療となります。詳細についてはお問い合わせください。
なお、採血後の血液検査で何らかの感染症が疑われる場合には、それ以降の加工・製造はできず治療は中止となります。
1セット | ¥150,000(税込) |
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電話で当院にお問い合わせください( 048-578-4272)。その後、予約した日に外来で診察を受け、PRP治療の適応があるか否か検討し、治療は改めて予約をとり開始になります。
当院では、石灰沈着性肩腱板炎、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、アキレス腱周囲炎、足底腱膜炎などの難治性腱・腱付着部障害、離断性骨軟骨炎、疲労骨折、遷延治癒骨折および偽関節といった骨障害に対し体外衝撃波治療を行っています。
胆石や尿管結石に使われる体外衝撃波結石破砕装置と原理は同じですが、より小さな衝撃波出力を利用します。整形外科領域では、’91年に骨がつきにくい難治性の骨折(遷延治癒骨折・偽関節)治療に使われ始め、’90年代半ばから腱・腱付着部障害(後述)に対し欧州を中心に使用されています。日本では、’12年4月から難治性足底腱膜炎の治療として保険適応になりました。
衝撃波治療の作用として除痛効果と組織修復効果があるといわれています。すなわち、疼痛伝達物質を減少させ疼痛伝達を抑制し、さらに痛いと感じる神経を変性させます。また、血管新生を誘導し組織を修復させると考えられています。
国際衝撃波治療学会によれば、石灰沈着性肩腱板炎、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎、足底腱膜炎などの難治性腱・腱付着部障害に加え、疲労骨折、偽関節、早期の離断性骨軟骨炎、早期の無腐性骨壊死、大転子部痛が適応疾患です。
治療は外来で行います。超音波エコーで病変部を確認し、最も痛い箇所を中心に位置合わせを行い衝撃波を照射します。衝撃波の刺激で痛みを感じますが、麻酔はせず、患者さまの反応をみながら徐々に衝撃波の強度と頻度を上げていきます。
照射するエネルギーが高ければ高いほど効果があるので、治療に要する時間は個人によって異なりますが、1回あたり30~40分ほどかかります。治療直後に痛みが軽快・消失することもしばしばありますが、症状が残るようであれば2~4週おきに3回を原則として継続して行います。
治療後は、下肢の場合でも普通に歩いてあるいは運転して帰宅することができます。また、安静を保つ必要もなく日常生活は通常どおりにできます。さらに、スポーツも治療を行いながら継続して練習することができます。しかし、衝撃波治療によって症状が軽快するために、無理をし過ぎて再発・増悪することがあるので、2~3週かけて徐々に活動性を上げていくようにします。
前述した腱・腱付着部障害に対する効果は、これまでの経験では80%以上の患者さまが「効果あり」と答えています。通常、治療直後から効果がみられ、1~2ヵ月経過すると痛みはさらに軽快します。また、衝撃波治療の回数を重ねるにつれて改善がみられるようになりますが、すべての患者さまに効果があるわけではないことをご理解ください。一方、ステロイド剤の注射を頻回に受けている方では治療効果が低下することが分かっています。
ちなみに、ステロイド注射は短期的な効果はあるものの、長期的にはステロイド注入以外の保存的治療例と大差なく、むしろ頻回の注射によって治療成績が低下するといわれています。また長期に及ぶ陳旧例では、筋・腱の柔軟性や筋力の低下をきたし難治性となっていることが多いので、理学療法士による専門的な徹底したリハビリは本治療の前後に必須と考えています。
これまでにみられた合併症は、治療直後に一過性に痛みが増悪した数例だけで、問題となるような有害事象は経験していません。
「保存療法を6ヵ月受けて効をなさない難治性の足底腱膜炎の除痛」と厚労省で規定されており、保険が適応となるのは医療機関(接骨院などは含まれません)で6ヵ月治療を受けたにもかかわらず症状が残存する難治性の足底腱膜炎だけです。
それでは、足底腱膜炎以外で困っている患者さまはどうすればいいのでしょうか。当院では、自由診療扱いとし1クール3回として本治療を行っています。なお2クール目は、1クール後3~6ヵ月経過をみて行います。
初回 | ¥16,500(税込) |
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2回目以降 | ¥5,500(税込) |
原則として1クール3回設定しております。
まず、当院にお問い合わせください( 048-578-4272)。その後、予約した日に外来で診察を受け、MRIなどの検査を行い衝撃波治療の適応があるか検討し、実際の治療はその後あらためて予約をとってから開始します。
毎週水曜 午後 に治療を行っております。
体外衝撃波治療をご希望の方はご予約の際、受付スタッフにお申し付けください。
MRIなどの評価により、体外衝撃波治療の適応有無について検討します。
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体外衝撃波治療の適応について再確認するとともに治療開始日を予約します。
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1クール3回。 2~3週おきに日程を組みます。
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治療期間・治療後、定期受診していただき経過観察します。
当院では、ケガ・障害の再発予防、健康維持増進、競技力向上を目的とした[コンディションング・トレーニング]をご用意しております。当院におけるリハビリテーションを終了した患者さまを対象(※1)にご利用いただけます。
コンディショニングには体力、技術、医療、栄養、睡眠、メンタルなど様々な要素が含まれています。このうち、当院ではケガ・障害の再発予防、健康維持増進、競技力向上を目的とした方のコンディションングをサポートいたします。
※1 今後、新型コロナウィルス感染症の感染者数や予防対策の状況を考慮し、ご利用いただける対象を拡大する予定です。